胸を打つクリスマス

(ある牧師の話)

アメリカでのクリスマスのお話。ある年、聖誕劇(キリストの誕生の劇)を子供たちがすることになり、役が割り当てられて行きましたが、最後に一人の男の子だけ残ってしまいました。

その子は「知恵遅れ」(ここではあえてこの言葉を使用させていただきます。お許しください)と言われている子でした。

大人たちはその子に「宿屋の主人」の役を与えました。旅の途中の身重のマリアとヨセフが宿を借りようとするのですが、どこも満室で断わられました。

しかし、ある宿屋の主人が、家畜小屋を貸してくれたのです。宿屋の主人役のセリフは「ダメだ。宿はない」だけで、その後、家畜小屋を指差す役割でした。

彼は毎日「ダメだ。宿はない」「ダメだ。宿はない」と一生懸命に練習したのです。

聖誕劇の当日。みんなが見守る中で、その子はしっかりと「ダメだ。宿はない」と言い、家畜小屋を指差しました。

みんなはホッとしたその時でした。その子は泣き出して、マリアとヨセフ役に向かって、大声でこう叫んだのです。

「マリアさん行かないで! 家畜小屋は寒いよ。イエス様が風邪ひいちゃうよ。僕のお家においでよ…」

劇はそこで中断してしまいました。しかし、人々の心に深く残るとても感動的な劇となったそうです。

彼は「知恵遅れ」と言われていました。しかし、本当に「遅れて」いたのでしょうか。彼は、本当に大切なものを知っている子だったと思うのです。

どうでもいい知識や、自己中心な考えばかりため込んでいる、この私の方こそ遅れている者だ…。

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