敬天愛人
(稲盛和夫氏の話)
1932年、稲盛和夫氏、鹿児島生まれ。27歳で京セラを創業したが、経営の仕方が分からなかった。資金も信用も実績もない町工場で、頼れるのは少しの技術と仲間たち。
稲盛氏は考えに考えて、両親や先生に教わった「人間として正しい事」を経営基準にし地元の偉人・西郷隆盛の教え「敬天愛人」(天を敬い人を愛する)を社是とした。
しかし経営は難しく創業から3年、待遇に怒った社員達が稲盛氏に猛抗議。「私を信じてくれ。信頼を踏みにじった時は、私を殺していい」と言う言葉に社員の怒りは収まった。
応接間の「敬天愛人」の書を見た稲盛氏は「人を愛する事は生半可な覚悟の腹ではできない」と西郷隆盛に言われている気がして改めて決意した。そして京セラは世界的な企業になる。
稲盛氏52歳。第二電電(現KDDI)を創業する時も「私は名誉のためにやっていないか？」と自問自答しKDDIを成功に導く。
稲盛氏78歳。戦後最大の負債で倒産したJAL債権の要請を政府から受けたが、稲盛氏は「航空業界は知識も経験もないです」と拒否した。
しかし「経済全体への悪影響を食い止め今の社員の雇用を守り、競争環境を維持し国民の利便性を確保できるなら」と無報酬で引き受け2年で再建を果たした。
「全社員(従業員)の物心両面の幸福を追求する事」(京セラ・KDDI・JAL共通の経営理念)。「リーダーになる人の必須条件は、思いやりの心、利他の心です」と稲盛氏は語る。
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